講座タイトル

『理論物理学から未知現象研究へ』

A new approach to Unknown Phenomena research based on the theoretical physics

 

講座紹介

 自然科学(主に理論物理学)を継承した形で未知現象を研究する為に必要な知識と方法論を学んで頂きます。

We learn the knowledge obtained by the natural science (mainly the theoretical physics) and the methodology in order to investigate Unknown Phenomena.

 

講座開設主旨

現代物理学(より広義の科学)の発展に伴い、多くの新しいアイデア・概念が生まれてきました。相対性理論・量子力学などは古典的常識が通用しなくなる例として非常に有名ですが、その他にも素粒子物理学や物性理論、数学の分野で数多くの新しいアイデアが発見され利用されています。しかし、このようなアイデアは発見されるまで眠っている訳ではなく“自然の法則”の一つの側面としていつでも自然の循環を支えていると考えられます。ですから、現実生活の中で私達は誰でも例外なく、驚くほど多様な真の“自然の法則”を実体験しながら生きている訳です。そして初めて経験する新しい“自然の法則”を私達は“未知現象”と呼んでいるだけなのです。

これら普段では意識されていない多くの有用な法則に気付く良い方法があります。第一に、現代科学の知恵が持つより深い処にある意味を自分自身の言葉で再認識することです。自分の方法で「観察」することだと言い換えることも出来ます。一見、無意味に見えたり無関係に思えたりする事も、自分自身がその事象の中に入ると全く違った有機的な見え方、捉え方が可能になります。客観性を第一原理にする科学的知識は、各人がそれらを自分の経験の中に取り入れて活かしてこそ、その意味が発揮されます。客観性とは、物質が持つ優れた特徴の一つですが、そこに意味を見出すのは意識の仕事です。整理された客観的事象は、知識とはなり得ても意味を持つ知恵ではありません。そして文化の豊かさは、蓄積された知識の量で測られるのではなく、活用される知恵の量で測られるべきであるという視点から、第一の方法は重要です。

第二の方法は、既存のアイデアや概念が創られた原点に立ち返り、仮定された原理や公理を明らかにし問題点を探ることです。科学的知識には、必ず出発点となった原理や約束事がありますから、いつでも初心に戻ることが新しいアイデアや概念を生み出す原動力となります。以上2つの観点で研究すること、つまり、科学的知識に意味を見つける事と原点の約束に戻る事を研究の中心に据えることです。その視点で未知現象研究の道を歩んで頂くことが当講座の目的です。その為の基本的なガイド役を務めさせて頂きます。

講座内容

1.       保存則と対称性

保存するという性質の根源を探ることが目的です。現代社会に蔓延している『足りない』という意識は私達現代人を根本的に制限している意識の一つです。この意識も実は、保存則の盲信に由来している面が多々あります。そこで、一体保存則では何が仮定されたのかを探りその妥当性を考え、更に自分なりに発展させて頂きます。

キーワード:場の理論、対称性、Noetherの定理

2.       自発的対称性の破れ

自然法則または運動方程式が対称性をもっていても、現実の相互作用等の影響で、自発的に対称性が破れる現象が知られています。この現象は、当初の予想を越えて極めて本質的であり、重要な多くのアイデアを含んでいたことが明らかになっています。自発磁化の問題、物質を構成する素粒子理論の標準模型や超伝導現象、超流動現象等の解析になくてはならないアイデアとなっています。この現象を多面的に分析し理解して頂きます。

キーワード:自発磁化、南部・ゴールドストーンの定理、ヒグス機構

3.       量子論と相対性理論

現代物理学を支える2つの理論、量子論と相対性理論がお互いに相容れない側面をもつことが知られています。その本質が何なのかを多面的に考え、それを乗り越えるアイデアを調べ、検討することが課題です。

キーワード:確率の保存、不確定性関係、重ね合わせ状態、確率解釈、ブラックホール、量子化の問題、弦理論

4.       無限自由度と不完全性

古来、無限大をどのように扱ったらよいのか、という問題は数学者、科学者・哲学者を悩ませて来ました。現在解っている事は、如何なる理論にもこの無限自由度に由来する不完全性が存在するという事です。この事実をどのように認識し,

どのように発展させて行くべきなのかを模索して頂きます。

キーワード:無限集合のパラドックス、ゲーデルの不完全性定理、くりこみ理論

5.       意識と物質

如何なる仮定をも必要とせず、ただ存在するという現象をどのように捉えたら良いのか? 科学的実証に基づく性質の分類ではなく、何故それは存在するのかという根本的な疑問と向き合う時、私達は自らの意識の存在に気が付き始めます。“意識”と“存在(物質)”が同じ本質的レベルにあることを実感することからこの分野は始まるのです。そして、証明、実証という行為を必要とする如何なる理論をも超越した、新しい発想にたどり着く力を養って頂きます。

   キーワード:なし

 

補足事項

参考文献には基本的な制約はありません。教わるのではなく、自分自身で文献や資料を見つけ整理する方法を身に付けるのも当講座の目的の一つです。その為のサポートを致します。そして自分で考え、感じ、直感を使い表現して下さい。どのような形態のレポートも受け付けます。レポートは(期限内の)随時必要だと感じた時に提出・提示して頂ければ結構です。

 

主な対象

基礎物理学を学んでいる大学院修士課程以上のレベルが望まれますが、必ずしも学歴に拘るものではありません。問題意識の高さと未知領域への飽くなき探究心こそが必要です。

 

2001年6月26日 担当:津田 憲次